カベルネの区画Vigna al Mare　ヴィーニャ・アル・マーレから生まれるもう一つのフラッグシップキュヴェ！

Vigna al Mare 2016
品種：カベルネ・ソーヴィニョン85%、カベルネ・フラン15%

手摘みで収穫したブドウを完全に除梗して、オープントップの発酵層で野生酵母のみで自発的に発酵させる。酵素や培養酵母、酒石酸、濃縮物、矯正剤、安定剤、その他の醸造添加物は一切付け加えずに醸造する。温度管理も一切行わない。2～3週間の果皮浸漬の後、25ヘクトリットルの大樽で10ヶ月熟成。さらにセメントタンクで5～6ヶ月熟成させた後、無清澄・無濾過で瓶詰め。さらにカンティーナのセラーで最低12ヶ月熟成させてからリリース。SO2は、ボトリング後のワインのネガティブな反応を避けるために、瓶詰め前に限り必要最小限のみ添加する。
2016 ヴィンテージは、2016 年9 月10 日収穫。総生産量6300 本。瓶詰め時のSO2 トータルは42mg/l。2019 年9 月時点のSO2 トータルは23mg/l。

味わい：強烈なルビーレッドの色合い。カシスやブレックベリー、香辛料や地中海のハーブなどのフレッシュで濃密な香り。素晴らしくジューシーで、熟した果実、ミルトやブラック・ペッパーなどの風味。ビロードのようなテクスチャーでスーパー・エレガント。数分は続く長い余韻。ジビエ料理や熟成したチーズと良く合うでしょう。

ワインレポート 2020/01/10試飲記事より

スヴェレートの自然派、透明感に包まれる「イ・マンドルリ」のサンジョヴェーゼ

2020/01/10 試飲

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、スーパータスカンが日本でも注目された。姿を消したワインもあるが、サンジョヴェーゼの魅力を発見できた点で、意義深い出会いも多かった。
トスカーナの海岸線に広がるマレンマの、ボルゲリやスヴェレートにも旅をした。強い日照と海風、温かさはキアンティの山中とは全く異なり、冷房の効かない車でひたすら汗をかいた。トゥア・リータでもらったパーカー100点のレディガフィ2000を見るたび、パワフルなビッグワインが全盛だった当時を思い出す。
そのスヴェレートも変化している。自然派の「イ・マンドルリ」（I Mandorli）に出会って、サンジョヴェーゼのピュアな味わいと心地よい緊張感に、軽いショックを受けた。これも時代の変化だろう。フランス初のMWとなったイザベル・エジュロンが主宰する自然派ワインの祭典「RAW WINE」にも出展している。そのワインリストには4銘柄が載っており、総亜硫酸の量は30-40mg/L。この数字だけでもちょっと信じられない。
女性当主マダレーナ・パスクエッティの父マッシモが2002年に土地を購入し、サンジョウヴェーゼとカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランを植えて、2008年からワイン造りを始めた。栽培面積は4ha。厳格にビオディナミを実践する。野生酵母で発酵し、醸造添加物は加えず、亜硫酸は最小限にとどめている。大樽とセメントタンクで熟成する。
トゥア・リータやモンテペローゾは、スヴェレートの旧市街南の斜面に集まっているが、イ・マンドルリは旧市街北の標高300mの丘陵に位置する。石灰、粘土、砂にシストやガレストロが交じる土壌。畑の周囲には地中海の灌木が残っている。マンドルリとはアーモンドの木を意味する。
エントリーワインのヴィノ・ロッソを飲めば、ただものではないこのワイナリーの品質とお買い得度に目が覚めるだろう。サンジョヴェーゼの乾き気味のタンニンや厳格さのないピュアな味わい。イ・マンドルリ・ロッソを軽量瓶に詰めるサステイナブルな姿勢も好ましい

「イ・マンドルリ　ヴィーニャ・アル・マーレ　IGTトスカーナ　2016」（I Mandorli Vigna al Mare IGT Toscana 2018）はカベルネ・ソーヴィニョン85%、カベルネ・フラン15%。ダークチェリー、カシス、ユーカリ、シルキーで、ピュアな果実、ジューシーな酸が口中で広がり、どこにもひっかかりがない。カシス、ガリーグ、潮の飛沫、空気にふれて、ハーモニー豊かな構造があらわになる。ほのかにスパイシーで丸いフィニッシュ。カベルネ・フランがすがすがしさを加えている。ヴィーニャ・アル・マーレは「海の畑」の意味。スヴェレートの暑苦しいイメージを覆し、冷涼感たっぷりのエレガントなボルドー・ブレンド。5400円。93点。

年末から年明けの1週間は、この4本をすこしずつ飲み続けた。柔らかくなり、うまみと滋味が増した。口当たりは柔らかいが、ヴァキュバンだけでへこたれることもなく、しっかりしたストラクチャーを備えている。コスト・パフォーマンスも高い。従来のマレンマのイメージに転換を迫る自然派ワイン。一度は体験すべきだろう。
輸入元はVIVIT。

フランス品種カベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランで仕上げたイ・マンドルリのフラッグシップ、「ヴィーニャ・アル・マーレ」。トスカーナ州、スヴェレートにあるワイナリーといえば、WA100点生産者でもあるトゥア・リータが有名ですが、突如と登場したこのイ・マンドルリ。昨年は、試飲する余裕もないほど、一瞬で売り切れになってしまいましたので、今回初めてイ・マンドルリのワインを試飲しました。

お隣のボルゲリにあるサッシカイアや90年代に一世を風靡し、今でも圧倒的な人気を誇るトゥア・リータ。これら2つのワイナリーと共通点は多くあれど、全く異なる個性を表現しているのが、このイ・マンドルリの「ヴィーニャ・アル・マーレ」だと思います。カベルネ・ソーヴィニョン主体で濃いイメージかと思いきや、口に含んでみるとものすごく柔らかくエレガント。自然派ワインとはなんぞや？と思うことがありますが、このワインはまさしくナチュラルな液体そのもの。豊かな果実味は、尖った部分など一切なく、体にスーッと入ってくる。3日にかけて飲んでいきましたが、旨味が最大限に表れた3日目が一番美味しかった。

輸入元の資料を見ると、畑には、多くの鳥やカメ、キツネ、?、イノシシ、蝶を含む何百万もの昆虫が生息していて、これらの生き物が畑やブドウを健康に守ってくれているのでしょうね。

同じスヴェレートにあるトゥア・リータのジュスト・ディ・ノートリもカベルネ・ソーヴィニョン主体で素晴らしいワインですが、その半値の価格で入手でき、飲んでワクワクするようなイ・マンドルリのフラッグシップお勧めいたします。ピノ・ノワールのエレガントさがお好きな方は、おそらくこの味わいは気に入っていただけると思います。2020.12.07